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本ブログでは、残業代請求に関する裁判例を紹介しています(つづき)。
3 争点2(変形労働時間制)について (一)被告の主張 被告は、共同購入運営部門及び物流部門の各事業所ごとに職員の勤務時間について、実質上、一か月もしくは一年間の変形労働時間制を採用している。 労働基準法(以下「労基法」という。)三二条の二所定の一か月単位の変形労働時間制を受け、被告は、従前より四週単位の変形労働時間制を採りうることを就業規則で定めている(三八条)。そして、共同購入運営部門や物流部門の業務は、曜日等によって変動が大きいため、右就業規則に基づき、これらの部門の職員については、部門別会議等の諸会合に諮った上で、勤務日程を、起算日を定めて一定期間分(一年間分等)を一括して予め設定する形にして各日、各週ごとの所定労働時間を特定した上で拘束時間を定めている。 仮に右事実が認められないとしても、被告は、その事業年度ごとに、事業計画とともに、一年間の職員の労働時間について部門長が部門別会議で執行部案を示して各職員の納得を得た上で「生協カレンダー」を策定してタイムスケジュールを組んでいるのであるから、一年間の変形労働時間制を採っているというべきである。例えば、共同購入運営部門の平成八年度の勤務日程につ(ママ)ていえば、概ね毎週火曜日から金曜日までは拘束時間を九時間、月曜日は拘束時間を七時間とし、月曜日の出勤日を四週間あたり一回ないし二回休日とすることで設定期間である四週間を平均して、一週間あたり四〇時間以内になるように設定している。被告においては、一年間分を一括して設定することから、年間総労働時間と年間の週平均労働時間も、念のために表示している。 被告における勤務時間は次のとおりである。 (1)一般及び管理部門 就業規則のとおり、午前九時から午後五時三〇分であり、休憩時間は、午前一二時から午後一時までの一時間である。 (2)物流部門(変形労働時間制) 午前七時三〇分から午後五時まで。休憩時間は、午前一二時から午後一時、週休日(日曜日)の他、土曜日または月曜日を労働時間調整日として法定外休日とし、一週間四四時間以内とする。 (3)共同購入部門(配達部門、事業所外勤務) 第一支所は、平成七年五月までは、(1)(一般及び管理部門)に同じであったが、同年六月以降、午前八時三〇分から午後六時三〇分、休憩時間が午後(ママ)一二時から午後一時となった。 第二支所の勤務時間は、午前九時から午後七時までの九時間(休憩一時間)であった。ただし、月曜日は午後五時までの七時間である。 週休日(日曜日)の他、土曜日又は月曜日を労働時間調整日として法定外休日とし、一週間四四時間以内とする。 (二)原告らの主張 就業規則三八条は、「四週間を通じて平均一週四六時間を超えない範囲」と定めるが、本件の賃金対象期間である平成六年八月以降では、週の法定労働時間は四四時間に規制されており、右就業規則の規定は労基法に違反する無効なものである。 また、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に就業規則で定めることを要するところ(労基法三二条の二)、被告の就業規則三八条はそこまで具体的に定めていない。生協カレンダーは、原告ら職員の意見聴取もなく被告が一方的に定めたものであるから、「就業規則その他これに準ずるもの」に当たらないことは明らかである。 右生協カレンダーが新年度の開始前に原告らに示されたことがないという実態からも、そもそも就業規則三八条の定める四週間単位の変形労働時間制は被告において現実には運用されていないから、右主張は失当である。 企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、御社の顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、会社都合の不当な解雇、交通事故の示談交渉や慰謝料交渉、相続や遺言の問題、原状回復(敷金返還)や多重債務の返済、家族の逮捕などの刑事弁護事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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