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【2024/05/15 13:39 】 |
不当解雇
今回は、不当解雇(リストラ)について判断している裁判例を紹介します(つづき)。 

イ 被告ジョブアクセスは,本件解雇は,整理解雇の実質を持つとして,縷々主張し,本件解雇は,その必要性や相当性を具備した有効なものである旨を主張するが,これは次のとおり採用できない。
 被告代表者は,E社のF社長から,人員の削減を平成19年8月20日に求められて,翌21日に直ちに,原告に対して本件解雇を告げていることは前記認定のとおりであって,解雇を回避するために,雇用主としての真摯な検討や努力した形跡も見あたらないし,本件解雇に際して,本裁判上主張している整理解雇の要件等についての具体的な検討を行った形跡も見あたらない(被告ジョブアクセスの整理解雇の主張は,いわゆる後付の感が払拭できないというべきである。)。また,被告ジョブアクセスとE社(被告U共済会の共済事業における査定業務等の一切を行っていた)との業務委託については,その業務委託期間は,1年間であり,特段の意思表示がないときは1年間延長されるとの約定であったことは前記認定のとおりであるところ,E社からの人員削減の申出は,平成20年3月末までは延長されている業務委託期間中のものであるから,被告ジョブアクセスとしては,少なくともE社からの当該減員請求(当然のことながら業務委託料の減額に繋がるものと解される)は,契約に反するものとして拒絶を試みる余地はあったものと解される。
 そして,原告を被告ジョブアクセスが雇用した平成18年6月当時は,既に改正保険業法が施行され,無認可共済事業者は,平成20年3月末までに,保険会社の免許申請を行って保険会社となるか,少額短期保険業者となるか,廃業するかなどの選択をしなければならない状況にあったことは前提事実(7)記載のとおりであって,被告U共済会の業務量の減少という事情は,本件解雇の際に突然,生じた事情ではなく,原告を雇用する際にも,予測できた事情というべきである。
 さらに,少なくとも,本件においては,整理解雇の必要性を基礎づける事情(すなわち,被告ジョブアクセスの収支状況,負債内容,人件費の額や比率,役員報酬の額や比率,業務量等)について財務諸表等の客観的資料に基づいて,明らかにされたものでもないし,本件解雇の通告がされた平成19年8月20日の被告代表者の原告に対する説明も,十分なものでないことも前記認定のとおりである。
ウ 以上の事情を総合すれば,被告ジョブアクセスの原告に対する本件解雇は,結局,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められず,その権利を濫用したものとして無効である(本件解雇当時の労働基準法18条の2参照)。
4 争点4について
 本件解雇が無効な場合の法律関係
(1)雇用契約上の地位の確認請求について
 本件解雇は無効であるが,前記のとおり,被告U共済会が解散した時点で,原告と被告ジョブアクセスとの労働契約も終了していると解するのが相当であるから,被告ジョブアクセスとの間で労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める請求は理由がない。
(2)未払賃金請求について
ア 被告ジョブアクセスは,必要性や相当性を認めることが困難な無効な本件解雇をして,原告の就労を拒否したものである上,原告は,本件解雇が無効であり,これを争う旨を書面でも明らかにしていたことは,前提事実(5)記載のとおりであって,原告には就労の意思はあったと解するのが相当である。
 そして,本件解雇後,被告ジョブアクセスが原告の就労を受け入れることを表明するなどの事情もない本件においては,無効な解雇を行った同被告は,原告から労務提供を受けていなくとも,本件解雇後の平成19年9月21日から被告U共済会が解散し労働契約が終了した平成20年12月31日までの間については,バックペイの支払を免れることはできない。
イ 次に,原告が被告ジョブアクセスに対して請求できる未払賃金額について,以下検討する。
 原告と被告ジョブアクセスとの労働契約における賃金は,日給月給であり,そして,土日祝日は休日とする約定であったことは当事者間に争いがない。したがって,原告が就労できない日についての給与の支払はなされないし,また,月毎に土日祝日も異なることから,毎月,同一の給与額になるものではない。
 そして,原告が求める賃金額は,1か月42万5000円であるところ,本件解雇当時の日給額は2万円であり,5000円は交通費であることが明らかであって(〈証拠略〉),結局,原告の賃金支払請求は,1か月42万円の範囲内で,かつ,土日祝日を除く日のうち就労が客観的に可能であると解される分について認めるのが相当である。
 そこで,暦と本件の具体的事情に照らして,平成19年9月21日から平成20年12月31日までの間の,認容可能な給与額を検討することとする。
 しかるところ,原告が一時,体調を崩していたことは原告が自認するところであるが,証拠(〈証拠略〉)によれば,原告は,痔疾の治療のために,N病院に平成19年10月16日に通院し,同月31日には,Mクリニックで日帰り手術を受けたこと,手術後の平成19年11月1日,2日,6日,13日,20日及び28日並びに同年12月5日は同クリニックへ通院したことが認められ,これらの日においては,就労することは困難であったものと解するのが相当である。
 したがって,原告が請求できる平成19年9月分から平成20年12月分までの未払賃金額は,次のとおり,合計606万円となる。
(ア)平成19年9月から12月分まで
〔1〕平成19年9月分(支払日10月末日)
6日分×2万円=12万円
〔2〕平成19年10月分(支払日11月末日)
20日分×2万円=40万円
(前記のとおり,痔疾の治療や手術等で通院していた16日及び31日は,就労ができなかったものと解する。)
〔3〕平成19年11月分(支払日12月末日)
15日×2万円=30万円
(前記のとおり,手術後の通院日である同月1日,2日,6日,13日,20日及び28日は就労ができなかったものと解する。)
〔4〕平成19年12月分(支払日平成20年1月末日)
19日×2万円=38万円
(前記のとおり,手術後の通院日である5日は,就労ができなかったものと解する。また,大晦日31日も就労をしない日(休日)であると認めるのが相当である。)
(イ)平成20年1月から12月分まで
〔1〕平成20年1月分(支払日2月末日)
19日×2万円=38万円
(元旦から3日までは,休日と認めるのが相当である。)
〔2〕平成20年2月分(支払日3月末日)
20日×2万円=40万円
〔3〕平成20年3月分(支払日4月末日)
20日×2万円=40万円
〔4〕平成20年4月分(支払日5月末日)
21日×2万円=42万円
〔5〕平成20年5月分(支払日6月末日)
20日×2万円=40万円
〔6〕平成20年6月分(支払日7月末日)
21日×2万円=42万円
〔7〕平成20年7月分(支払日8月末日)
22日×2万円=42万円
〔8〕平成20年8月分(支払日9月末日)
21日×2万円=42万円
〔9〕平成20年9月分(支払日10月末日)
20日×2万円=40万円
〔10〕平成20年10月分(支払日11月末日)
22日×2万円=44万円であるが,前記認容限度額である42万円の範囲内で,これを認める。
〔11〕平成20年11月分(支払日12月末日)
18日×2万円=36万円
〔12〕平成20年12月分(支払日平成21年1月末日)
21日×2万円=42万円
ウ 以上の合計未払賃金の合計は,606万円であり,被告ジョブアクセスは,各月の未払賃金について各支払日の翌日から支払ずみまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払義務も負う。
(3)慰謝料請求について
 一般に,解雇された労働者が被る精神的苦痛は,解雇期間中の賃金が支払われることによって慰謝されるのが通常であり,本件においても,原告について,(労務に従事することなく)前記金員の支払を受けて,これによってもなお償えないほどの特段の精神的苦痛が発生したとまで認めることは困難である。
 したがって,原告の慰謝料請求については理由がない。
第4 結論
 以上の次第で,被告ジョブアクセスに対する請求のうち,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求は理由がないからこれを棄却し,金員支払請求は,一部理由があるから前判示の限度で認容し,原告の被告U共済会に対する訴えは不適法であるからこれを却下して,主文のとおり判決する。

なお、不当解雇(リストラ)についてお困りの方は、専門家に相談すべきですので、不当解雇(リストラ)について弁護士に相談してください。また、企業の方で、残業代請求などについてご不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士費用やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。その他にも、個人の方で、交通事故の示談交渉家族の逮捕など刑事弁護を要する刑事事件子供の逮捕などの少年事件借金の返済敷金・保証金返却や原状回復(事務所、オフィス、店舗)遺言や相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。
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【2011/04/18 17:17 】 | 不当解雇
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