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【2024/05/15 12:52 】 |
時間外勤務手当
当ブログでは、残業代請求について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。

二 争点1(二)(各原告の労働の実態)について
1 各原告の労働実態
(一)原告伊藤について
(1)第一支所の物流業務(辞令上、平成七年六月まで)
(証拠略)並びに原告伊藤本人によれば、次の事実が認められる。
 第一支所の物流部門では、始業時刻が午前九時であるという就業規則の定めにもかかわらず、職員は午前八時から午後五時三〇分までの勤務を命じられていた。第一支所での物流業務の内容は、午前中は、各業者から納品される商品を荷受けし、検品することから始まり、配達コースごとの仕分け、店舗への商品の転送作業を行い、午後も、各業者からの納入に始まり、午前中と同様の作業を行うというものであり、納品する業者の都合や、交通事情により納品が遅れたり、納入量の増加により仕分け作業が遅れ、時間外労働(残業)が発生することがあった。
 商品の仕分け作業は配達の前日に終えるのが原則であるが、生鮮食料品は配達当日(深夜か早朝)の入荷もあり、その数量の点検、各支所への仕分け等の作業のため、午前八時より早く出勤することも多かった。当日の商品の仕分けが終わると、翌日配達の重量物(米、ビン類等)を中心とした商品の仕分けを行い、午前中の業務を終える。午後(ママ)一二時から一時までは休憩時間とされていたが、現実にはその間も業者から商品の入荷があり、他の職員と交替で休憩を取るなどして対応していた。午後も、午前と同様の業務を行った後、通常は午後五時半ころにタイムカードを打刻して退勤していたが、商品の入荷が遅れるために仕分け作業が遅れることがしばしばあり、その他、業者からの納品書と被告の検品表の対照作業といった事務作業のため、指示されていた退勤時刻を超えて勤務することが常態化していた。原告伊藤は、平成七年六月に第二支所の共同購入運営部門への配転命令を受けるが、引継の関係で、現実に異動したのは同年八月二五日ころである。
 右認定事実によれば、原告伊藤の第一支所の物流業務時代のタイムカードの記載と現実の労働実態が異なるものであることを窺わせる特段の事情はないというべきであるから、タイムカードの記載によって原告伊藤の労働時間を認定するべきである。
(2)第二支所の共同購入運営部門(平成七年八月から)
(証拠略)並びに(人証略)及び原告伊藤本人によれば、次の事実が認められる。
 第二支所の共同購入運営部門では、平成七年度以降、勤務時間は月曜日が午前九時から午後五時、火曜日から金曜日が午前九時から午後七時と就業規則と異なるものが被告から指示されていた。配達業務は火曜日から金曜日まで、午前・午後の一日二回であり、配達先は高槻、茨木、摂津市であった。所長を含む五名の職員で一コース当たり一〇ないし一五箇所を三〇ないし三五コースの配達業務を担当しており、月曜日は配達はなく、組合員拡大業務、会議、研修などが行われる。配達のある火曜日から金曜日は、職員は、出勤後、組合員に配布するカタログ及び配達する商品を倉庫から車に積み込み、商品を確認後、支所を出発し、配達先で組合員にカタログを渡して次の週の注文書を回収し、配達商品を車から降ろし、即売商品があればその場で販売を行う。一〇ないし二〇箇所を配達し、午前の配達が終了すると支所に戻るが、交通渋滞のために帰着が遅れ、午後の準備のために昼休みを取れず、車中で昼食をとることもある。午後も午前中と同じく一〇ないし二〇箇所の配達を終えた後、支所へ戻ってコンテナの整理をする。午後の配達中に所定の終業時刻を超えることもあるが、支所に戻った後も、午前午後の注文書をチェックして注文をしていない組合員に電話で注文を聞いたり、即売した商品の伝票を切ったり、組合員からの問合せに答えたり、定期の配達の後に入荷した商品を組合員に届けたり、翌日の配達の準備をする等、配達以外の業務をすることがある。配達が予定の時刻にできない場合、組合員から苦情が出されることがある。
 原告伊藤は火曜日から金曜日まで、午前八時三〇分ころ出勤し、商品の車への積み込みを行って、午前一〇時ころに支所を出発し、予め曜日ごとに配達先、配達時刻が定められている配送コース表にしたがって配達業務を行っていた。原告伊藤が担当する配送コース表には、配達時刻が午後五時五五分、午後五時四〇分という配達箇所もあり、午後六時一五分ないし二〇分ころに支所に帰着後、残務整理によってすべての業務が終了するのが午後七時三〇分から午後八時ころになるのが常態化していた。
 右認定事実によれば、原告伊藤の第二支所共同購入運営部門における配達業務は、終業時刻後の時間外勤務(残業)が常態化していたというべきである。他方、始業時刻(午前九時)より前の出勤について、原告伊藤本人は、配達の準備のために必要であった旨述べるものの、配達のために支所を出発する一時間三〇分も前から勤務を開始することを必要とする具体的な事情については明らかでなく、タイムカードに記載はあるものの、これを被告が指示ないし承認する時間外労働(残業)と認めることはできない。
(3)右のとおり、原告伊藤の労働実態については、平成七年八月二五日ころまでの第一支所物流業務についてはタイムカードの記載により、別表九記載のとおりの労働時間を認定でき(原告伊藤主張の別表二とは一部に齟齬があるが、右齟齬はその主張からみて単なる誤記と認める。)、それより後の第二支所の共同購入運営部門での配達業務については始業時刻(午前九時)より前は労働実態があったとは認めがたいが、終業時刻後については、別表九(別表二との齟齬については、単なる誤記と認める。)のとおりの時間外勤務(残業)を認めることができる。

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【2011/03/12 15:57 】 | 残業代の請求2
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