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【2024/05/15 18:48 】 |
残業代請求
このブログでは、残業代請求についての裁判例を紹介しています(つづき)。

(二)原告鵜川(豊川倉庫の物流業務)について
(1)(証拠略)並びに原告鵜川本人及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
 豊川倉庫では、勤務時間は就業規則所定のものとは異なり、午前七時三〇分から午後五時までとされていた。豊川倉庫の物流業務は、各業者から一括納品される商品を荷受け、検品、保管し、仕分けて支所に転送するというものであり、職員は一名配置される他、パート職員(午前九時から午後三時までの勤務)が一名配置され、両者の共同作業となっていた。午前一一時から午後二時ころまでの間に、荷受け、仕分けの合間に、仕分けた商品を各支所に転送する業務も行う。原告鵜川は、火曜日及び金曜日は、豊川倉庫に入荷した常温商品(酒、洗剤、菓子、調味料等)を各支所及び店舗に転送する作業があり、火曜日は第一支所の業務の応援に行った後、午前九時ころ豊川倉庫に戻って右作業を行い、金曜日は第一支所に行かず、午前七時三〇分から転送のための作業を行っていた。倉庫における業務の合間に、支所関連総業務にも従事する。納品する業者の都合や、交通事情により納品が遅れたり、納入量の増加により仕分け作業が遅れ、時間外労働(残業)が発生することがある。
 豊川倉庫にはタイムレコーダーが設置されていなかったため、原告鵜川は、自らの勤務開始と終了の時刻を毎日メモしておき、予め配布されていた白紙のタイムカードに一か月分をまとめて記入した上、上司の確認印を貰っていた。
(2)右認定事実によれば、タイムカード(〈証拠略〉)の記載は原告鵜川の労働実態を反映したものというべきであり、労働時間を右タイムカードによって認定することができる。被告は、原告鵜川のタイムカードがすべて手書きであり、出勤時刻等もほとんど同じであるから、労働実態を反映していないと主張するが、被告が物流部門では午前七時三〇分の始業を職員に指示していたことに照らして、原告鵜川の出勤・退勤時刻は不自然なものではない。また、被告は、平成六年九月に労働組合が結成されて豊川倉庫を組合事務所として占拠してから、原告鵜川は組合活動に専従していたと主張するが、原告鵜川の組合活動専従の事実はこれを認めるに足りる証拠がない。
 したがって、原告鵜川の労働実態については、別表一〇(別表三との齟齬については、前同様、誤記と認める。)とおりであることが認められる。
(三)原告川西について
(証拠・人証略)、原告畑山本人並びに弁論の全趣旨によれば、原告川西は、平成六年四月に、従前の豊川倉庫勤務から店舗勤務へ配転を指示され、また同年一〇月には第一支所への配転を命じられたにもかかわらず、それに従わず、組合活動のために豊川倉庫に出入りしていたこと、そして、右不就労(平成六年一〇月三日から同年一二月九日まで)及び豊川倉庫の占拠(同年一一月一日から同年一二月一九日まで)を理由として被告から同年一二月二二日付で懲戒解雇されたことが認められる。原告川西は、配転命令を拒否して豊川倉庫で就労してきたが、被告は、その労務提供を受領してきたので、その就労から発生した休日勤務手当を支払う義務があると主張する。しかしながら、配転命令に従わずに配転前の勤務場所に出勤し、その労務提供を被告がやむなく受領していたとしても、これによって配転命令が撤回されたわけではないし、その主張する休日勤務自体、配転命令に叛いたもので、しかも具体的にいかなる必要があって就労したかも疑問であり、原告川西が休日勤務をしたとしても、これをもって、被告が賃金を支払うべきものということはできない。
(四)原告阪口について
(1)(証拠略)並びに原告畑山本人によれば、次の事実が認められる。
 原告阪口が担当した第一支所共同購入運営部門の業務内容は、配達担当地域が高槻、茨木、摂津市を除いた北摂(守口市、大阪市北部を含む)であることを除いて概ね第二支所の共同購入運営部門(原告伊藤の平成七年八月以降)と同じである。
 第一支所の共同購入運営部門では、平成七年度以降、勤務時間は月曜日が午前九時から午後五時、火曜日から金曜日が午前八時三〇分から午後六時三〇分と被告から指示されていたが、これは就業規則における所定のもの(午前九時から午後五時三〇分)とは異なる。第一支所における配達業務は火曜日から金曜日まで、午前・午後の一日二回である。職員は、配達の前週に支所長が示す配達コース(出発時間、帰着時間が定められている)にしたがった配達をする。各職員の具体的な配達先の担当は、前任者から引き継ぐことになっており、各職員が任意に選択することはできない。月曜日は配達はなく、組合員拡大業務、会議、研修などが行われる。
 配達業務のある日は、職員は、出勤後、組合員に配布するカタログ及び配達する商品を倉庫から車に積み込むが、積み込み作業には三〇ないし四〇分を要する。商品を確認後、支所を出発し、配達先で組合員にカタログを渡して次の週の注文書を回収し、配達商品を車から降ろし、即売商品があればその場で販売を行う。一〇ないし二〇箇所を配達し、午前の配達が終了すると支所に戻るが、交通渋滞のために帰着が遅れ、午後の準備のために昼休みを取れず、車中で昼食をとることもある。午後は、積み込み作業に三〇分ないし五〇分程度を要し、午前中と同じく一〇ないし二〇箇所の配達を終えた後、支所へ戻ってコンテナの整理をする。午後の配達中に所定の終業時刻を超えることもあるが、支所に戻った後も、午前午後の注文書をチェックして注文をしていない組合員に電話で注文を聞いたり、即売した商品の伝票を切ったり、組合員からの問合せに答えたり、未入荷だった商品を組合員に届けたり、翌日の配達の準備をする等、配達以外の業務をすることがある。
 原告阪口の場合、月曜日は組合員拡大業務(ビラ配布、戸別訪問)、残務整理等を行うほか、各種会議へ出席していた。また、火曜日から金曜日までは、配達先に予定の時刻に到着するように早い曜日で午前七時二〇分ころ、遅い曜日でも午前八時一五分ころに出勤する。特に、火曜日及び金曜日は、午前の最終配達箇所と、午後の最初の配達箇所の配達時刻が接近しているため、午後に配達する商品の積み込み準備を午前中の出発前に済ませる必要があり、午前七時台に出勤していた。休日においても、会議や即売会のために被告に勤務を命じられることがあった。
(2)右認定事実によれば、原告阪口の第一支所共同購入運営部門における業務は、終業時刻後の時間外勤務(残業)が常態化していたというべきである。また、始業時刻より前の勤務についても、予め支所長が決めた配達コース(出発時間、帰着時間が定められている)にしたがった配達業務を遂行するために必要なものであるといえるから、やはりタイムカードの記載どおりの労働実態が認められる。結局、原告阪口の労働実態については、タイムカード(〈証拠略〉)の記載により、別表一一(別表五との齟齬については、単なる誤記と認める。)のとおりの時間外勤務(残業)を認めることができる。
(五)原告清水について
(1)管理部人事教育課時代(平成七年五月まで)
 原告清水は、管理部人事教育課の時代にも残業が生じたと主張するが、同人の主張する具体的な業務内容は主張に大きな変遷がみられるだけでなく(平成一〇年一月二〇日付準備書面においては「作業」「教育指導業務」と主張し、平成一一年三月付準備書面においては「組合員拡大業務」「被告の再建案の作成」と主張する。〈証拠略〉の内容は、後者の主張に沿うものである。)、いかなる事情によって時間外労働(残業)が発生するのかはその具体的な業務内容からは必ずしも明らかとはいいがたい。また、(証拠略)によれば、同人の平成六年一〇月から平成七年五月までのタイムカードは、退勤時刻の記載がなかったり、あっても手書きであり、時刻も同じものが多いことが認められる。
 右各事実を総合すれば、タイムカードの記載が原告清水の管理部人事教育課における労働実態を反映していないことを窺わせる特段の事情があるというべきであり、タイムカードの記載によって同人の右期間における現実の労働時間を認定することはできない。その他に、右の点に関する原告清水の主張事実を認めるに足りる証拠はない。
(2)第一支所共同購入運営部門(平成七年六月から)
(証拠略)並びに原告畑山本人によれば、原告清水の労働実態は次のようなものであったことが認められる。
 原告清水の第一支所共同購入部門における業務内容及びその実態は、(四)において原告阪口について認定したものと、概ね同じであり、就業規則所定の出勤時刻前、退勤時刻後の時間外労働(残業)を余儀なくされていた。原告清水の場合、その他に、月曜日に配達部門の月次の売上を集計し、予算との対比をするという予算管理の作業を行っており、一か月当たり二ないし三時間を要していた。
(3)右のとおりであるから、原告清水の労働実態は、管理部人事教育課時代についてはタイムカードの記載どおりの時間外労働(残業)を認定することはできないが、第一支所共同購入運営部門における業務は、終業時刻後の時間外勤務(残業)が常態化していたというべきであり、始業時刻より前の勤務についても、予め支所長が決めた配達コース(出発時間、帰着時間が定められている)にしたがった配達業務を遂行するために必要なものであるといえるから、タイムカードの記載どおりの労働実態が認められる。結局、原告清水の労働実態については、タイムカード(〈証拠略〉)の記載により、別表一二(別表六との齟齬については、単なる誤記と認める。)のとおりの時間外勤務(残業)を認めることができる。


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【2011/03/13 15:58 】 | 残業代の請求
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