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【2024/05/15 11:21 】 |
残業代請求(サービス残業)
当ブログでは、残業代請求に関する裁判例を紹介します(つづき)。

五 争点4(一)(法内超勤)
 被告の給与規程においては、前述(第二の一4)のとおり、単に時間外勤務(残業)について割増賃金(残業代)を支払う旨規定するのみで、法内超勤と法外超勤とを特に区別して取り扱っていないのであるから、法内超勤についても時間外の割増賃金(残業代)を支払うことが労働契約上合意されていると解するのが相当である。
 以上によれば、原告伊藤、同鵜川、同阪口、同清水、同畑山及び森脇については、別表一の1ないし7の認定時間外時間欄記載のとおり、時間外労働(残業)時間を認めることができる。なお、端数に関する計算は、原告らの主張に従った。
六 争点4(二)(算定基礎額)
 割増賃金(残業代)の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、臨時に支払われた賃金、一か月を超える期間ごとに支払われる賃金は算入されない(労働基準法三七条四項、労基則二一条)。これらは、提供する労務の質と無関係な個人の事情に着目した賃金であり、制限列挙と解される。そこで、賃金のうち、この除外賃金に当たること及び除外される金額については、使用者である被告が主張立証責任を負うというべきである。
 被告は、算定基礎額は基本給のみであり、扶養手当等を除外するべきであると主張するところ、その主張する扶養手当については除外賃金とされる家族手当と考える余地はあるものの、職務手当、技能手当等はこれが除外賃金に該当するとはいい難い。そこで、被告としては、除外賃金に該当する扶養手当の額について、各原告ごとに具体的に主張立証しなければならないが、その主張はなく、これを明らかにする証拠もない。そうすると、仮に扶養手当が除外賃金に当たるとしても、結局、これを除外できず、原告の主張する基準内賃金のすべてに基づいて時間外手当(残業代)の算定基礎額を求めることとなる。してみれば、原告伊藤、同鵜川、同阪口、同清水、同畑山及び森脇については、別表一の1ないし7の時間外単価欄記載のとおり、時間単価の額を認めることができる。
七 争点5(事業場外労働のみなし制)について
 被告は、共同購入運営部門での業務が事業所外での配達業務であるから、その間の労働は所定労働時間を勤務したものとみなされ(就業規則三五条)、帰着時間を超えても時間外勤務手当(残業代)の対象とならない旨主張する。しかし、みなし制をとれるのは、事業場外労働のうち、労働時間を算定しがたい場合に限られるのであり(労基法三八条の二)、前記認定のとおり、被告においては、共同購入部門の配達業務に従事する職員を含めて、その労働時間はタイムカードによって管理しているのであるから、労働時間を算定しがたい場合に当たらないことは明らかである。事業場外労働のみなし制が現実に労働時間が算定できるにもかかわらず、事業場外労働であるという理由だけで、所定労働時間しか労働しなかったこととみなされる制度でないことはいうまでもない。この点に関する被告の主張は理由がない。
八 争点6(時間外手当(残業代)の放棄)について
 被告の主張の趣旨は必ずしも明らかでないが、原告らと被告の間で予め時間外手当(残業代)を支払わないとの合意があったという趣旨であれば、その様な合意は強行法規たる労基法三七条に違反する無効なものであるといわざるをい(ママ)ないし、既に発生した時間外手当(残業代)を原告らが放棄したとの趣旨であれば、そのような事実を認めるに足りる証拠はなく、いずれにしても被告の右主張には理由がない。
九 遅延損害金の利率について
 原告らは、未払賃金に対する遅延損害金として、各支払日から支払済みまで年六分の割合による金員の支払を求めるが、被告に対する賃金請求権が商事債権であることを示す事実について何ら主張、立証がないから、民法所定の年五分の割合の限度で認容するべきである。
一〇 付加金について
 原告川西を除く原告らは、以上のとおりの時間外労働(残業)に対する未払賃金請求権を有しており、右未払は労基法三七条に違反するものであるが、これに関する被告の態度等、本件に顕れた一切の事情を考慮すると、未払賃金に対する付加金の請求は相当と認められる。そして、付加金の請求は、使用者による違反のあった時から二年以内にしなければならないものとされ(労基法一一四条)、右期間は除斥期間と解されるから、原告らが支払を求める付加金のうち、本件訴訟提起(記録上、平成九年一月二八日であることが明らかである。)から二年より前に支払期のある賃金(平成七年一月二五日が支払期である平成六年一二月分まで)に対する部分については権利行使をすることはできない。
 よって、被告に対し、別表一の1ないし7の付加金欄の総合計欄に記載の各金員について原告らの主張する割合の範囲の額及びこれに対する本判決確定日の翌日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払を命じることとする。

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【2011/03/20 16:02 】 | 残業代請求
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