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【2024/05/16 07:55 】 |
不当な解雇の効力
今回は、不当解雇(リストラ)について判断している裁判例を紹介します(つづき)。 
(3)争点3
 仮に,原告と被告ジョブアクセスとの法律関係が労働契約であり,平成19年8月21日付けでされた業務発注依頼の中止の通知が,労働契約の解雇の意思表示であるとした場合(以下,この解雇を「本件解雇」という。),本件解雇は有効か否か。
(被告ジョブアクセスの主張)
 仮に,原告と被告ジョブアクセスとの法律関係が,労働契約関係であるとしても,本件解雇は有効であって,原告の請求は理由がない。
 すなわち,本件解雇は,保険業法改正に伴う被告U共済会の業績悪化に原因する委託先E社の査定業務の急激な減少によって,E社から被告ジョブアクセスに対して,査定業務に従事していた人員の減員を求められたものであって,整理解雇の実質を有するものであるところ,次のとおり,本件解雇は有効である。
 整理解雇においては,一般に〔1〕人員削減の必要性,〔2〕解雇回避努力義務,〔3〕解雇対象者選定(人選)の合理性,〔4〕説明・協議等の解雇の妥当性の4要素が指摘される。
〔1〕の点について。被告ジョブアクセスは,E社から要員の減員を申し出られており,その要請は業務量減少に基因するという理由のあるものであり,零細企業である同被告にとってもE社の業務を担当させている者をそのまま雇用し続けることはできず,人員削減の必要があった。
〔2〕の点について。もともと原告は,保険査定業務について能力を認められて被告ジョブアクセスに入社したものであるところ,零細企業である同被告において,原告を他に配置転換したり,出向させたりすることができない状況であった。
〔3〕の点について。原告は平成19年2月にE社の若年の女性従業員・K(以下「K」という。)に対するセクハラ問題を発生させ,E社から強い抗議を受けていた上,「E社者の従業員は猿ばかりである」などと述べるなど,E社の従業員らと円満さを欠いていた。他方,本件解雇当時,同被告から派遣されていた原告以外のG及びHの両名は優秀な人材であり,その後,同被告の正社員となったほどであり,原告を解雇対象者とすることは,人選の合理性がから見ても相当であった。
〔4〕の点について。被告ジョブアクセス代表者(乙山次郎)が,原告に対し,8月21日,本件解雇を告げた際に,喫茶店において,上記の整理解雇の必要要素の各点について詳しく説明している(なお,Kに対するセクハラ問題については,原告を傷つけないようにとの配慮から告げなかった)。
(原告の主張の要旨)
ア 原告は,就労直後から,被告U共済会における多くの不払い事例を眼にしていたところ,曲がったことが嫌いである原告は,保険金の不払い査定を指示した被告U共済会に対して,二度にわたって,約款に問題があると指摘して不払い査定を拒否し,被告U共済会の朝礼で司会をする毎に法令遵守を訴え,事実無根のKに対する原告の言動を問題にする被告U共済会の責任を追求したり,音を立てて事務室を走るなどの執務環境を悪化させるLに対する被告U共済会の責任を指摘するなどした。このため,被告らは原告を嫌悪して,解雇したものである。
イ 原告は,Kに対するセクハラなどしていないし(そのことは,K自自身が認めている),被告ジョブアクセスが主張する整理解雇については,整理解雇が認められるために必要な要件を具備するものでもなく,失当である。
(4)本件解雇が無効な場合の法律関係
(原告の主張)
ア 原告には,本件解雇後も,被告ジョブアクセスに対する就労の意思も,就労の可能性もあったものである。
 すなわち,原告は,本件解雇後も解雇を争う意思を有し,平成19年9月20日付けで,「労働債権の返還の要望書」と題する文書(〈証拠略〉)や,平成19年11月13日付けの書面(〈証拠略〉。離職票受領の際の文書)においても,不当解雇を受け入れるものではない旨を明示していた。そして,本件解雇後,痔疾で一時体調を崩したが,平成19年10月31日,Mクリニックで日帰り手術とその後7回の通院をしたにとどまり,就労の可能性がなかったものでもない。
イ 本件解雇が無効である以上,原告は被告ジョブアクセスに対して,労働契約上の権利を有する地位にもあるし,被告ジョブアクセスの違法な就労拒否があったものであるから,就労をしていなくとも,賃金の支払請求権を有する。なお,原告と被告ジョブアクセスとの労働契約においては,給与は日給月給であり,毎月末日締めの翌月末日払い,土日祝日は休日との契約であった。
 そして,被告らが共謀して行った違法な本件解雇によって,原告が蒙った精神的苦痛に対しても損害賠償がされるべきである。
 なお,原告が,本件解雇の効果が発生した日とされた平成19年9月20日から約1年9か月近く経過した平成21年6月13日に本件訴訟を提起したのは,体調を崩した時期があったり,被告らの監督官庁に調査を依頼したり,法テラスの審査を受けたりするなどしていたため,結果的に時間が経過したためにすぎない。
(被告ジョブアクセスの主張)
ア 被告ジョブアクセスは,原告に対し,平成19年8月21日に1か月の予告期間を設けて同年9月20日付けで解雇(本件解雇)することを通知したが,原告は,その間,同被告の許諾を受けて就職活動を行っていた。
 原告は,平成19年9月20日,解雇された以降,被告ジョブアクセスに対する客観的な労務提供はなかったし,被告ジョブアクセスに復職の要請はもとより,接触すら一切なかった。
 このように,原告は,被告ジョブアクセスに対する就労意思もなく,労務提供もなく,原告は,被告ジョブアクセスの従業員として稼働する意思はないのであるから,その労働契約上の地位を有することの確認を求める請求は失当である。
イ そして,原告が,被告ジョブアクセスないしすでに消滅した被告U共済会に対して,雇用形態や賃金の在り方に関して,また,Kに対するセクハラ問題に関して,名誉心を害されたとの気持ちを有し,何らかの損害賠償を求めたいとの気持ちがあったことは窺えるが,しかし,雇用形態の問題については,本件訴訟外で行政庁の指導もあって解決しており,また,セクハラ問題に関しても被告ジョブアクセスは最大限の配慮を払って,発注中止(解雇)を行ったものであり,原告の金員支払請求も棄却されるべきである。
なお、不当解雇(リストラ)についてお悩みの方は、専門家である不当解雇(リストラ)を扱う弁護士に相談してください。また、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料金やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉オフィスや店舗の敷金・保証金返却請求(原状回復義務)多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題家族の逮捕など刑事弁護を要する刑事事件子供の逮捕などの少年弁護事件、などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。
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【2011/04/05 17:12 】 | 不当解雇
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