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当ブログでは、残業代請求に関する裁判例を紹介します(つづき)。
第三 争点に対する当裁判所の判断 一 争点1(一)(タイムカードの記載)について 1(一)(証拠・人証略)、原告畑山本人及び原告鵜川本人によれば、次の事実が認められる。 被告においては、昭和六〇年ころからタイムレコーダーを設置し、給与を時間給で支払われるパート職員やアルバイト職員も、月給制の正職員も、出勤時及び退勤時にタイムレコーダーによってタイムカードにその時刻を打刻することとされている。パート職員及びアルバイト職員の給与はタイムカードの記載によって計算され、正職員についても、皆勤手当の支給の有無(遅刻、早退等の有無)をタイムカードの記載によって管理している。本件で原告らが時間外手当(残業代)等を請求する平成六年以降は、本部、第一支所及び第二支所にはいずれもタイムレコーダーが設置されており、原告らも右の三箇所で勤務する者はタイムカードに打刻してきた。被告は、平成六年一一月二一日付で、部門長及び課長といった管理職に対し、職員のタイムカードに打刻漏れがあった場合の処置として、毎月二○日に各部門及び各課単位で当該労働者の出勤・退勤時刻を確認したうえで手書きで記入させ、点検印を押印するように指示をした。第一支所においては、職員自身が打刻、記入しない場合でも、部門長が自ら職員の退勤時刻を把握した上で記入し、押印することもある。 豊川倉庫においては、タイムレコーダーが設置されていないため、そこに勤務する職員(原告鵜川)は、タイムカードの打刻に代えて、あらかじめ配布されたタイムカードに自ら出・退勤時刻を手書きで記入し、締め日である毎月二〇日ころに上司である部門長から確認印を貰うこととされていた。 (二)右認定事実によれば、被告では、パート職員、正職員ともに労働時間の管理はタイムカードによって行っていたのであり、単に職員が出勤しているかどうかを管理するためだけにタイムレコーダーを設置していたとみるのは困難である。被告は、労働時間の管理は各職場に備え付けられた「申請書」によって行っていた旨主張するところ、(証拠・人証略)によれば、職員が提出する右申請書の記載が必ずしもタイムカードによって計算される時間外労働(残業)時間と一致しない部分があると認められるものの、原告畑山本人によれば、右不一致は被告において時間外労働(残業)に対する賃金の支払に制約を加えて(ママ)ことから生じたものと認められ、これをもってタイムカードが職員の労働時間を管理する機能を全く持たなかったとはいい難い。 2 被告は、タイムレコーダーの管理は杜撰なものであり、上司に見つからずに打刻することも可能であったから、タイムカードの記載は労働実態を反映しないと主張する。 この点、(証拠・人証略)、原告畑山本人、原告伊藤本人によれば、タイムレコーダーの設置場所は、本部が建物の階段踊場、第一支所が南側の一階入り口付近(当初の建物北側にある更衣室内から移動)、第二支所が二階事務所内の入り口の真正面であることが認められるが、右設置場所はいずれもある程度の人通りが予想される場所であるから、タイムレコーダーが管理職が常に監視しうる範囲の外に設置されていたことのみをもって直ちにその管理が杜撰であったとはいえないし、原告ら職員が日常において不正にタイムカードに打刻していたと認めるに足りる証拠はないから、被告の主張は採用できない。 タイムレコーダーは、その名義の本人が作動させた場合には、タイムカードに打刻された時刻にその職員が所在したといいうるのであり、通常、その記載が職員の出勤・退勤時刻を表示するものである。そこで、特段の事情がないかぎり、タイムカードの記載する時刻をもって出勤・退勤の時刻と推認することができるもので、本件においても、右認定のとおり、これによって労働時間の管理がされ、タイムレコーダーの管理も全く杜撰であったとはいえない以上は、個々の原告らについて特段の事情の有無を検討することになるものの、原則として、これによって時間外労働(残業)時間を算定するのが合理的である。もちろん、タイムカードの記載は、職員の出勤・退勤時刻を明らかにするもので、右時刻が、職員の就労の始期・終期と完全に一致するものではないが、前記認定のとおり、給与を時間給で支払われるパート職員も、月給制の正職員も、出勤時及び退勤時にタイムレコーダーによってタイムカードにその時刻を打刻することとされており、パート職員の給与はタイムカードの記載によって計算され、正職員についても、皆勤手当の支給の有無(遅刻、早退等の有無)をタイムカードの記載によって管理しているというのであるから、タイムカードを打刻すべき時刻について特段の取決めがなされたとの事情の窺えない本件においては、タイムカードに記載された出勤・退勤時刻と就労の始期・終期との間に齟齬があることが証明されないかぎり、タイムカードに記載された出勤・退勤時刻をもって実労働時間を認定するべきである。 企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、顧問弁護士契約をしている弁護士にご確認ください。また、個人の方で、交通事故の示談や慰謝料の交渉、相続の方法や遺言の形式、会社都合の不当な解雇、原状回復(敷金返還請求)や借金返済の解決方法、家族の逮捕などの刑事弁護士が必要な刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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