顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめています。
今回は、公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドラインの内容を紹介します。
1.本ガイドラインの目的と性格
本ガイドラインは、公益通報者保護法を踏まえて、事業者のコンプライアンス経営への取り組みを強化するために、労働者からの法令違反等に関する通報を事業者内において適切に処理するための指針を示すものである。
2.事業者内での通報処理の仕組みの整備
(仕組みの整備)
○ 通報の受付から調査、是正措置の実施及び再発防止策の策定までを適切に行うため、経営幹部を責任者とし、部署間横断的に通報を処理する仕組みを整備するとともに、これを適切に運用することが必要である。
(通報窓口の整備)
○ 通報窓口及び受付の方法を明確に定め、それらを労働者等に対し、十分に周知することが必要である。
○ 新たに通報窓口を設置する場合、法律事務所等に委託する(中小企業の場合、何社かが共同して委託することも考えられる。)など、事業者の外部に設置すること、労働組合を通報窓口として指定すること又はグループ企業ではグループ共通の一元的な窓口を設置することなども可能である。また、対象としている通報内容や通報者の範囲、個人情報の保護の程度等を確認の上、必要に応じ、既存の通報窓口を充実させて活用することも可能である。
(相談窓口の設置)
○ 各事業者の通報処理の仕組みに関する質問等に対応する相談窓口を設置することが必要である。相談窓口は事業者の実情に応じて、通報窓口と一元化して設置することも可能である。
(内部規程の整備)
○ 内部規程に通報処理の仕組みについて明記し、特に、公益通報者に対する解雇や不利益取扱いの禁止を明記することが必要である。
(秘密保持の徹底)
○ 情報を共有する範囲を限定すること、知り得た情報を口外しないこと等を各担当者に徹底させることが必要である。
(利益相反関係の排除)
○ 受付担当者、調査担当者その他通報処理に従事する者は、自らが関係する通報事案の処理に関与してはならない。
3.通報の受付
(通報受領の通知)
○ 書面や電子メール等、通報者が通報の到達を確認できない方法によって通報がなされた場合には、速やかに通報者に対し、通報を受領した旨を通知することが望ましい。
(通報内容の検討)
○ 通報を受け付けた場合、調査が必要であるか否かについて、公正、公平かつ誠実に検討し、今後の対応について、通報者に通知するよう努めることが必要である。
(個人情報の保護)
○ 通報の受付方法としては、電話、FAX、電子メール等様々な手段が考えられるが、通報を受け付ける際には、専用回線を設ける、個室で面談するなど、通報者の秘密を守ることが必要である。
4.調査の実施
(調査と個人情報の保護)
○ 調査の実施に当たっては、通報者の秘密を守るため、通報者が特定されないよう調査の方法に十分に配慮することが必要である。
(通知)
○ 調査中は、調査の進捗状況について適宜、被通報者(その者が法令違反等を行った、行っている又は行おうとしていると通報された者をいう。)や当該調査に協力した者等の信用、名誉及びプライバシー等に配慮しつつ、通報者に通知するとともに、調査結果は、可及的速やかに取りまとめ、通報者に対し、その結果を通知するよう努めることが必要である。
5.是正措置の実施
(是正措置と報告)
○ 調査の結果、法令違反等が明らかになった場合には、速やかに是正措置及び再発防止策を講じるとともに、必要に応じ、関係者の社内処分など適切に対応することが必要である。また、さらに必要があれば、関係行政機関への報告等を行うことが必要である。
(通知)
○ 是正措置完了後、被通報者や当該調査に協力した者等の信用、名誉及びプライバシー等に配慮しつつ、速やかに通報者に対し、是正結果を通知するよう努めることが必要である。
6.解雇・不利益取扱いの禁止
(解雇・不利益取扱いの禁止)
○ 公益通報をしたことを理由として通報者に対し、解雇・不利益取扱い(懲戒処分、降格、減給等)をしてはならない。
7.フォローアップ
(フォローアップ)
○ 事業者は、通報処理終了後、法令違反等が再発していないか、是正措置及び再発防止策が十分に機能しているかを確認するとともに、必要に応じ、通報処理の仕組みを改善すること、新たな是正措置及び再発防止策を講じることが必要である。また、通報者に対し、通報したことを理由とした不利益取扱いや職場内で嫌がらせが行われたりしていないか等を確認するなど、通報者保護に係る十分なフォローアップを行うことが必要である。
8.その他
(仕組みの周知等)
○ 通報処理の仕組みやコンプライアンス(法令遵守)の重要性について、社内通達、社内報、電子メール等での広報の実施、定期的な研修の実施、説明会の開催等により、労働者、管理者等に対し、十分に周知することが必要である。特に、通報処理を行う担当者に対しては、十分な研修等を行うことが必要である。また、職場の管理者等(通報者等の直接又は間接の上司など)に相談や通報が行われた場合に適正に処理されるような透明性の高い職場環境を形成することも重要である。
会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。
個人の方で、以上の点につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。
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