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このブログでは、残業代請求についての裁判例を紹介しています(つづき)。
三 争点2(変形労働時間制)について 1(証拠・人証略)、原告畑山本人、原告伊藤本人によれば次の事実が認められる。 被告は各支所ごとに労働日及び労働時間(始業時刻及び終業時刻)を各職員に提案して実施していたが、それは就業規則の変更や労働組合との交渉のもとに実施されていたものではなく、あくまで被告の提案にすぎなかった。また、職員の具体的な労働日を示した「生協カレンダー」は労働組合との協議はなく、部長会議や部課長会議で内容が決定されて各職員に示されていたが、生協カレンダーには具体的な一日の労働時間は記載されておらず、事業年度の始め(毎年三月二一日)までに配布されたことはなく、平成九年度においては、一一月に至っても配布されていなかった。 2 一か月以内の変形労働時間制を実施するには、使用者は、就業規則その他これに準ずるものに変形期間、変形期間内における法定労働時間の総枠、法定労働時間を超える日、週を規定する必要があり(労基法三二条の二)、変形期間は、起算日を明らかにして特定しなければならないこととされている(労働基準(ママ)規則一二条の二第一項)。 被告は、共同購入運営部門や物流部門の職員については、部門別会議等の諸会合に諮った上で、勤務日程を、起算日を定めて一定期間分(一年間分等)を一括して予め設定する形にして各日、各週ごとの所定労働時間を特定した上で拘束時間を定めていると主張するが、具体的に何が就業規則に準ずるものであるのか、具体的な変形期間(一か月以内でなければならない)、その起算日、右期間内における法定労働時間の総枠等についての規定について何ら具体的に主張・立証していないから、一か月以内の変形労働時間制の主張には理由がない。 3 被告は、その事業年度ごとに、事業計画とともに、一年間の職員の労働時間について部門長が部門別会議で執行部案を示して各職員の納得を得た上で「生協カレンダー」を策定してタイムスケジュールを組んでいるのであるから、一年間の変形労働時間制を採っているとも主張するが、一年単位の変形労働時間制を実施するには、使用者は労働組合等との間で書面による協定を締結する必要があるところ(労基法三二条の四)、右認定の各事実によれば、生協カレンダーが書面による労使協定であるとはいいがたい。したがって、被告が一年間の変形労働時間制を採用しているとの主張も理由がない。 四 争点3(役職手当)について 1(証拠・人証略)及び原告畑山本人によれば、平成六年九月までは課長等の役職に就いている職員について役職手当が支給されていたが、原告らは同年一〇月以降は役職を外れたため、役職手当の支給はなくなり、平成七年三月まで暫定的に従前の役職手当と同額の職務手当が支給されるようになったこと、同年四月からは、業務手当一万円と調整手当という形に変わったが、合計額として従前の職務手当と同額が支給されていることが認められる。 2 被告は役職手当(職務手当、業務手当)が時間外手当(残業代)を含むものであると主張するところ、役職手当等は時間外賃金以外のものを含むものであるが、時間外賃金を固定額で支払うこと自体は、その額が労基法所定の割増賃金(残業代)額を超えるかぎり、これを違法とすることはできないものの、その場合でも、時間外割増賃金(残業代)として労基法所定の額が支払われているか否かを判断できるように割増賃金(残業代)部分が明確でなければならない。しかるに、本件では、右役職手当等のうち、いかなる部分が時間外割増賃金(残業代)に該当するかを明らかにする証拠はないから、被告の右主張は採用できない。 企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、顧問弁護士契約をしている弁護士にご確認ください。また、個人の方で、交通事故の示談や慰謝料の交渉、相続の方法や遺言の形式、会社都合の不当な解雇、原状回復(敷金返還請求)や借金返済の解決方法、家族の逮捕などの刑事弁護士が必要な刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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